"You Tube"でしか観られない「ベスト・オブ・アマチュア・ミュージシャン」セレクション(2014年版)




今回は、「ようつべでしかみらんねえ面白音楽家大集合の巻」。

オモシロ、、、ったって、実は、実力が半端じゃない人ばかりを集めてみました。もちろん、私の好みなんで、偏ってはいますが、その実力たるや唖然とするほどのものばかりであります。

まずは、このへんてこりんな楽器を弾く、おむすび顔のおじさんからどうぞ!!



第1位 Don John (ドン・ホァンさん)(アメリカ)




ハーモニカ・キング。(特に、ホーナー・ハルモネッタ)

ずらずらーっとたくさんアップされているハーモニカを吹く動画を見れば一目瞭然ですが、他のどんな連中もかなわないだろう恐るべき才能の持ち主。ハーモニカの天才、と呼ばせていただきます。

プロなのかもしれませんが、詳細は全く不明です。

面白いのは、この動画にある「ホーナー・ハルモネッタ」を吹いている動画。

これって、1950年代に、ハーモニカとアコーディオンの有名メーカー、ドイツ・ホーナー社で製作されたのですが、「演奏があまりに難しすぎる」ってんで、人気がなく、すぐに絶版になってしまった「幻の珍品」。れっきとしたハーモニカなのですが、ご覧のとおり、たくさんボタンがついていて、上の列はいわば、「口で吹くアコーディオン」になっている。ハーモニカとアコーディオンの中間。Youtubeにもいくつか演奏動画があがってますが、誰一人としてまともに扱えていないのに、この方は、驚愕のテクニック!思わず、拍手したくなるど迫力で吹きまくります。すっげー!!

現在でも、オークションで出たりすると、量産品の珍品ハーモニカのくせに、25万円ほど出品され、秒殺で売れてしまうハルモネッタ。その「世界一の演奏者」は、この方で間違いないと思います。


第2位  Dr.Jorge David Hinojosa Hernández (ドクター・ホルヘ・ダビ・イノホサ・エルナンデス)(メキシコ)




偉大な、アコーディオンのマエストロ。

ドクター、ってのは伊達じゃないんですよ、この方。メキシコ、ヌエボレオン州立大学病院の外科の先生です。(注:2021年現在定年で引退)。実は、オンラインで友達なんです。

ノルテーニョ・バンドを持って活躍しておりまして、現地ではかなり有名なミュージシャンでもあります。バンド動画もありますが、独奏でやっている動画がどれもすごい。あらゆるジャンルの曲を自分独自のアレンジでやってのけていますが、指先の器用さ(さすが外科の先生!)がすごいというだけでなく、そのアレンジセンスに「音楽の天才」を感じます。こういうダイアトニック式ボタンキイアコで、ここまで独奏で聴かせるって、大変なことなんですよ。


第3位  Eddy Davis(エディ・デイヴィスさん)(アメリカ)




最高のジャズ・バンジョー奏者。

困りましたね。テナーであれプレクトラムであれ5弦であれ、バンジョーって楽器はマニアが多くって、しかも、バカテクな人が多くって、なにかいいとか悪いとか言おうものなら、苦情が殺到するんで、ヘタなことが書けない。おまけにわたくしはバンジョーは全く弾けませんから、困ります。

でも、この方、なんかとても懐かしい感じがしませんか?戦前の古き良きディキシーランド・ジャズ・バンジョーの雰囲気をこれほど伝えてくれる動画というのは、この方をおいてない、と思います。リラックスしていて、のんびりと肩の力が抜けていて、指の体操競技みたいなことはいっさいせず、シンプルなのに味があって、歌も同じようにいい感じ。何度観ても飽きません。こういう感じがバンジョーっていう楽器の良さだと思うのですがねえ。ちなみに、最近、やっとホームページを見つけましたが、大変な経歴の持ち主でした。(レオン・レッドボーンのバンジョー奏者です)

彼のバンドのクラリネットは、映画監督でクラ奏者でもあるウディ・アレンです!

(注:2020年に死去。79歳)


第4位  Aubra Graves (オウブラ・グレイヴスさん)(アメリカ)




スイング黄金期の最後の生き残り。

・・・っぽいんですよ、この方。相当の年配だとお見受けしますが、そのあざやかなサックス演奏は、もう、円熟の極みというか、神様というか・・・。家で、「ジャズカラオケCD」をかけながら、「練習」しているそうですが、これが「老後の趣味の練習」だったら、プロの立場はどうなっちゃうんだよ、という、そんなレベルでございます。おそらく、若き日には、さぞかし有名スイングバンドで慣らした方だと思うのですが、さっぱりネット検索でひっかかってきません。不思議です。

(注:この記事のあと、世界各地で、TUBE動画から多くのファンを得たが、2020年に死去。)


第5位  Vilma(ヴィルマちゃん)(スウェーデン)




(当時)11歳の天才アコーディオン奏者。

もはや、言葉もない。完璧な演奏です。イタリアのピエトロ・デイロが1910年代に書いたアコーディオンのインスト曲で有名な「ビューティフル・デイズ」を演奏していますが、他のどんなプロのおじさんたちより、ヴィルマちゃんのほうが格が上なのは一目瞭然です。


第6位 HOWARD MORGEN (ハワード・モルゲンさん)(アメリカ)




偉大な、ジャズ・ギター独奏の名手。(故人)

この方も、アマチュアというわけではなさそうで、ギターの先生のようです。どこまで有名な方なのかはよくわかりません。もう故人になっています。わたしも、古いスイングからモダンジャズまで、結構な数のジャズギターを聴いたり真似したりしてきましたが、ここまで独演で聴かせるギターというのは、あまり例を知りません。半ば、クラシック・ギターの手法を借りながらも、いかにもジャズらしいスタイルで演奏するあたりは、かつてのジョニー・スミスを思わせます。


第7位  Dale Norman (デイル・ノーマンさん)(イギリス)




最も雰囲気のある、ジョージ・フォームビイのフォロワー。

ジョージ・フォームビイは、イギリスの戦前から活躍した、ボードビリアンで映画俳優。

バンジョー・ウクレレという、あまり使われない楽器を最大限駆使して楽しい弾き語りをしてみせた方です。フォームビイスタイルの奏法(かき鳴らすリズムの取り方に特徴がある)は今日ではこの楽器のスタンダードになっています。なにげなく、コメディアン風に弾いてますが、ノーマンさん、さすがにそのあたりは見事に押さえてるんですよ。

(注:その後、ドラマー歴20年のプロであることが発覚!)


第8位  Takasago High School Jazz Band (日本)




最高のスイング・ビッグバンド。

ヘタすると、へたくそなプロなんかより上なんじゃないか、とすら思えるたいした技量です。

レスター・ヤングが、歌手ビリー・ホリデイとともに残した有名なバージョン「君微笑めば」(ホエン・ユー・アー・スマイリング)、特に、レスターがアドリブでとった有名なフレーズをサックス部隊が全員、ハーモニーで演奏するあたりは圧巻。このアイデアの元ねたはアメリカで80年代に出されていますが、見事にこなしていますね。こういうのがホントのジャズの楽しさだと思うんですけどね。アドリブじゃなくっても、ソロでかっこいいことしなくてもいいんですよ。


第9位   all the DOO-WOP GROUPS on the street corners in New York (アメリカ)

(ニューヨークのストリートコーナーで唄う全てのドゥーワッパーたち)




ホンモノのドゥーワッパー(ストリートコーナーシンガーズ)たち。

もう、言うことはないでしょう。1940年代から連綿と続く、「オン・ザ・ストリート・コ-ナー」(街角音楽)としてのドゥーワップはちゃんと生きてるんですね。なんか、もう、感動です。


第10位  Humberto Gumeta SR.(ウンベルト・フメタさんのお父さん)(メキシコ)




レストランで流しのギターを前に歌い出した、驚異的に歌のうまいお父さん。メキシコの方、しかも、息子さんがたまたま撮ってアップしただけのようですが、とても素人だとは思えない、異常なうまさです。メキシコの人って、たしかに、その辺のおっさんがやたらと楽器や歌がうまかったりするようですから、これくらいなんてことはないのかもしれません。恐るべし、メキシコ。


CDもDVDもなく、ライブを観にいくこともできない、「ユーチューブ」でしか観られないミュージシャン(アマチュア、たぶん)で、オレが好きな人たちを集めたシリーズを自分で改めてみて、感じるのは、バカみたいですが、とにかく、「特別有名でもプロでもない、ごくフツーの人の中に、すごい才能と努力の人がたくさんいる」ということです。世界は広い。


ご覧になったみなさん、もし、気にいった人がいたら、是非、tubeの「グッド!」にポチッとしましょう。中には、30万ヒットもいってる人もいるけど、全然ない人もいるから。


偉大な、ハワード・モルゲンさん、ドン・ホアンさん、ホルヘ・イノホサ医師、オウブラ・グラヴィスさん、エディ・デイヴィスさん、ヴィルマちゃん、デイル・ノーマンさん、ウンベルト・フメタさんのお父さん、たくさんのストリート・ドゥーワッパーたち、高砂高校のオーケストラ、すべての素晴らしい「アマチュア」の方々に心から、大拍手を贈りたいです。オレが聴いてきたどんなプロにも負けない、素晴らしい演奏に。


posted on2014年09月15日

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