ザ・クローサー・ユー・アー - アール・ルイス&ザ・チャネルズ
「アール・ルイス&ザ・チャネルズは、『ニューヨークのベスト』といわれているけど、違います。彼らは、すべてのグループのベストです。……(中略)
『クローサー・ユー・アー』や『フレイムズ・イン・マイ・ハート』といった、彼らオリジナルのラブソングはまっすぐに心に届くようなもので、私の実際の人生の中で、『本物の親愛』とは何か教えてくれました。……(中略)
ドゥーワップ・サウンドは、私たちを、男の子と女の子がもっと、お互いを気遣いあっていた時代へ引き戻してくれます。
50年代は、人生や生活そのものがもっとのんびりしていて、ゆるやかで、恋愛もとてもシンプルで純粋で、現在のように複雑なものではありませんでした。
このCDは、車輪を回し続けるねずみみたいな現代生活から抜け出し、恋や情熱が、もっとずっと人生の重要な事柄だった時代へと引き戻してくれます。
当時は、こんなにせわしない世の中ではなく、今みたいにやたらと不安がる人々はずっと少なくて、子供たちは本当に面白いことが何かよく知っていました。
アール・ルイス&チャネルズのラブソングの数々は、ハッピーで、明るくて、純真で、希望に満ちています。
彼らは今でも、現役で活躍しています。みなさんも、彼らを見て、聴いて、また、『スローダンスの生活』に戻りませんか?」
アマゾンコム(アメリカ)のCDレビューは誰でも投稿できるのですが、これはスーザン・サミーという方が書いたものをわたしが簡潔に訳したものです。彼女はたぶん60代か70代でしょう。わたしは、とても彼女に共感します。
チャネルズは、50年代のドゥーワップグループで、地元では大変よく知られているし、ドゥーワップ名曲選集などのアンソロジーを組めば、必ずといっていいほどとりあげられるグループですが、全国ヒットとは関係ないグループです。
でも、ニューヨーカーなら誰でも知っている「ニューヨーカーズ・スタンダード」とでも言うべき作品をたくさん残しました。最も有名な唄が、「ザ・クローサー・ユー・アー」(1957年)です。
アール・ルイスは、70代ですが、現在も現役バリバリで、活躍中。ちなみに、この人、15年ほど前の定年まで郵便局に勤めていました。現在は、ライブ活動をしながら、自宅で奥さんと作った手作りのCDを、欲しい人に売っているようです。この人の場合、「老後」という感じはしませんが。
この「唄うポストマン」の、絶大な信奉者だった人に、故フランク・ザッパがいます。60年代から80年代にかけて、ロックの革命児といわれた天才音楽家です。ザッパは、ドゥーワップ音楽のマニアで、50年代当時に出た無数のレコードをほとんどすべて持っていたといわれています。そのザッパが残した遺作アルバムの冒頭曲は、チャネルズの「ザ・クローサー・ユー・アー」でした。
(アール・ルイスは2021年現在、80歳。消息は不明。)
posted on2011年10月15日
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