イギリス初のロックンローラー クリフ・リチャード&ザ・シャドウズ



わたくしがクリフ・リチャードをはじめて聴いたのは、全盛期よりかなり後の1972年ごろ。

ラジオで流れていました。

この曲です。




素晴らしいですよね。名作です。

当時、アコースティック・ギターを弾き始めてまして、このラテンっぽいリズムギターがかっこいいなあ、と思ってコピーしたり。

リードギターの音づくりも素晴らしい。

歌もうまいだけでなくて、誰にも出せない味があって、すぐにこの人だとわかる独特の素晴らしい声。おまけにハンサムマン。

大スターになるのも当然、と思います。


ところが、アメリカ側ではさっぱりで、ほとんど一発屋だと思われている始末。こりゃまたどういうわけだ、そんなわけないだろ、と思うのですが、不思議なこともあるものです。


しかしながら、後年、2012年も、御覧のとおり、まったく変わらない。すさまじい大観衆に支えられて、まさに、サーの称号を得るだけのことあるよなあ、と思いますね。(現在は、クリフ・リチャード卿です。)






そして、そして、ギターがハンク・マーヴィンで相変わらず最高なサウンドフィエスタレッド、ゴールドパーツのフェンダーストラトがかっこいい!

これだよな!俺もすっかりハマったぜ!

リチャードのバックはシャドウズで、これまた素晴らしいヒット連発のインストルメンタルバンドでもありました。


マービンは、16歳の時、友人のブルース・ウェルチ(のちにシャドウズのリズムギターになる)とともにアマチュアコンテストに応募したものの、3位と振るわず。

解散に。でも、そんなことであきらめていいのか!いや、よくない!やらなくちゃ!今でしょ!

とか林修みたいなことを口走ったりはしてないと思いますが、ふたりは音楽で身を立てる事を決意、生活費を稼ぐためにコーヒー・バーで演奏していたところ、クリフ・リチャードのマネージャーのジョニー・フォスターとばったり出会ってしまいます。

これが幸運のビッグバン。フォスターはマーヴィンにリチャードのバックバンドに入ることを依頼したところ、マーヴィンは、相棒のウェルチと一緒ならいいぜ、と友達思いの優しいやつ。で、リードギターがマーヴィン、リズムギターがウエルチという、50年代から現在にまで至るシャドウズとなるわけです。


ハンク・マーヴィンは、イギリス本国に於いてトニー・アイオミ、ピーター・グリーン、ブライアン・メイ、マーク・ノップラーをはじめとする数多くのブリティッシュ・ロック・ギタリストに影響を与えたとされています。ヨーロッパ各国だけでなく、わが国でもシャドウズは人気があったものの、アメリカでは、知名度が低いそうです。一説によると、ベンチャーズと同じようなもの、で片付けられてしまったとか。まあ、確かに同じような路線ですが、マーヴィンのギター奏法は、独特のもので、ギタリストならわかる、っていう世界は確かにありますね。


ハンク・マーヴィンのインスト版「ヤング・ワンズ」




さて、主人公ともいうべき、クリフ・リチャード卿、本名は、ハリー・ロジャー・ウェッブという人で、1940年生まれ。

もう、82歳ですが、お元気らしい。

英国とバルバドスの両方の市民権を持っていますが、現在はアメリカ在住らしい。

これまでのレコード売り上げは2億5千万枚で、歴史上、世界で最も売れた音楽アーティストのひとりとされています。

英国では、ビートルズやエルビス・プレスリーに次ぐ、全英シングルチャートの歴史で3番目に売れているアーティストでもあります。

名前の由来は、アイドルだったリトル・リチャードからとったそうで、本物のロックンロールクレイジーだったんでしょうね。

よく、思い違いされてますが、この人、イギリス最初のロックンローラーのひとり。ビートルズ以前の人なんですよね。


「え?あんだって?おら?おらはビートルズなんて知らねえよ。おらが好きなのは、ソトルソチャードだっぺよ。おみゃい、バカにすてんのかあー。」


なんてイギリス田舎なまりでしゃべくりなすった、なんて話は誰も聞いてません。

そもそも、彼ら、のちのビートルズ、ストーンズもそうなんですが、50年代半ばに起こったイギリススキッフルブームから出てき

た人たちです。スキッフルってもともとはアメリカ南部の楽器編成を指す言葉で、日本でもポピュラーな呼び方は、ジャグバンド、っていうやつ。

楽器はもう、なんでもかまわない。ベースはビンだったりたらいだったり、その辺の空き缶たたいたり、高い楽器も高い演奏技術もいらないので、戦後の貧困にあえいでいたイギリス庶民の間で流行したらしい。

流行をひっぱっていったのが、クリス・バーバーとかロニー・ドネガンといった人たちですが、クリフ・リチャードもシャドウズの面々も、そんな中から本格的なロックンロールに移行して最初に名をあげたアーティストだったということでしょう。


でもって、最初のヒットシングル「ムブ・イット」は、1958年ですからね。英国で最初の本格的なロックンロールソングとよく言われます。 1960年代に入ると、「ヤング・ワンズ」や「サマー・ホリデー」といった青春映画に出演し、青春スターとしてのキャリアを築いていくことになりました。ま、しかし、このあたりがこの人の一番初期の傑作がそろっているあたりですよね。


70年代も大ヒットを出し続け、まさに世界的大スターでありつづけた結果、67枚ものUKトップ10シングルを持っている。

これは、アーティストとしてはエルビスに次いでいるので、今でも生きているエルビスと同時期の大スターなんですよね。



コメント

このブログの人気の投稿

ムードテナーの帝王 ー サム”ザ・マン”テイラーの軌跡

1950年代のレッド・ツェッペリン ~ ジョニー・バーネット・トリオ

スラックキーの王様 ー ギャビー・パヒヌイ