レンジャー・ダグ(ライダーズ・イン・ザ・スカイ) ー40年代ウエスタンスイング黄金期の復刻王

 





みなさんこんばんわかづくり!野口五郎です。

いきなりですが、ダグラス・B・グリーンを知ってますか?通称レンジャー・ダグというおじさん。

日本ではほとんど知られていないウエスタンの人ですが、実はこの人、グラミーを2回とった大変な人です。

どっかで聴いたことあるぞ?って思った方はたぶんお子さんがいらっしゃるわたしと同年配の方か女性の方だと思います。


ライダーズ・イン・ザ・スカイ、というバンドで受賞していますが、このバンド、1970年代から活躍するコミックグループ。

コミック、といっても別に両津巡査が出てくるわけでもなく、ステージでシェーをしたりもしません(古まあ、なんつーか、日本にはないパターンですがアメリカの古いウエスタンバンドではよくあったコメディアクトを入れたステージをやるバンドなので、ある意味、復刻、というか、40-50年代の古き良きウエスタンの世界を再現している人たちです。

予備知識がないと、単なるコミックグループに見えてしまうのかもしれません。

ロックの元祖のビル・ヘイリー&ヒズ。コメッツもよくステージの余興でバカなことしてたそうですが、あまり知られていませんね。もともとはウエスタンスイングバンドだったからです。

そもそもカントリーバンドのコミックショーはとても古い伝統に根ざしており、さかのぼると19世紀のメディスンショウやミンストレルの世界にたどり着きます。

ウエスタン音楽とジャズ音楽双方に多大な影響を与えたエメットミラーは、芸人さん、要するに歌も歌うコメディアンだったんですから、本当はコミックがメインだったんですね。


で、このレンジャー・ダグさん。

かっこいいんですよ、これが。ライダーズインザスカイのステージはtubeでしかみていないのですが、40年代ウエスタンスイングのライブを完全再現しているといってもいいと思います。電気楽器すらひとつもない。

ギターはリズムしか弾かない。歌はヨーデルが入る。これがまたバカテク。40年代にシルバーヨーデルのチャンピオンだったビル・ヘイリーを彷彿とさせます。




ヨーデルといったら、灰田勝彦!というあなた!あなたは古いっ!いや、もとへ、えらいっ!昭和一桁の人にはなじみ深いと思います。



さて、もともとライダーズ・イン・ザ・スカイは70年代のグループだそうで、本当に40年代から活躍していたわけではありません。それではバンドのネーミングの由来になった曲「ゴーストライダーズ・イン・ザ・スカイ」の本物になってしまいます。

おじいさんたちに見えますがおじいさんです!といっても70代。なにせもう平成も終わろうかという2019年、わたしだってシニアの仲間入り寸前ですからね。ちなみに関係ないですが、レンジャー・ダグはわたしの従弟と同じ歳です。

時が過ぎるのは早いもので、昭和40年ごろ、近所のやかんはげ親父から「馬鹿者!」と怒鳴られる悪ガキだったことがつい最近のように思えますが、もうあれから半世紀もたってしまったんですね!気がついたら、わたしがやかんはげスレスレハゲハゲじゃないですか!

うわーお、なんてこったー(ポパイの初代声優浦野光の声で)。


なんの話でしたっけ?あ、そうだレンジャー・ダグ。

1977年からスタートしたバンドですが、わたしがブルーグラスバンドをはじめたのが1980年ですから、ちょっと前なだけですね。当時ですらやたらとニッチなウエスタンスイング復刻バンドなんてやってても売れないわけ。たとえ本国アメリカでも。

で、面白いコミックショーを取り込んだのかもしれません。レンジャー・ダグさんもさすがは本国で腕の立つ人だけあって、ブルーグラス王、ビル・モンロウのバンドでギターを弾いていたこともある。

2年間、ナッシュビルの店に定期的に出演し人気を得た後、1982年にはついにカントリーの花道、グランドオール・オープリーに出演。83年から5年間続いた、古いB級ウエスタン専門チャンネルのテレビ番組にバンドとして出演。淀川長治のかわりにバンドで演奏という、

なんというか、アメリカはオシャレですなあ。

88年から95年、自分たちのラジオ番組をもってバンドで出演。なんといいますか、40年代の人たちと同じような活躍の仕方ですね。アメリカの伝統音楽としてのカントリー&ウエスタンの在り方がわかる話だと思います。


(レンジャーダグインタビュー )



91年には子供番組に定期的に出演しますが、1シーズンで終わってしまいます。あれま、チャンス逃したなあ、と思ったものの、7年後再びチャンスが巡ってきます。1998年に作られたディズニー・ピクサーのメガヒット映画「トイ・ストーリー」の続編、

「トイ・ストーリー2」に起用され、「ウッディズ・ラウンドアップ」を作詞作曲演奏。これが見事グラミーを獲得。


その後勢い余って、というか、面白いことに、彼ら自身がアニメ化され、Stanley's Dinosaur Round-Upやダック・ドジャースなどたくさんのアニメ作品にアニメキャラとして登場。子供たちの人気者になるのです。







いやー、人生なにがあるかわからない。

そして今でも彼らはバリバリ現役のアーティストとして見事に、「40年代のウエスタン音楽」をそのまま、まるでタイムスリップしたかのようなショーをみせてくれるのです。




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